三陽商会がサステイナブル宣言 今年中にビニール製ショッパー廃止

三陽商会は、今春から地球環境に配慮した事業活動に注力する。CSR推進委員会委員長を兼務する岩田功社長が指揮を執り、プラスチックの削減、リアルファーの不使用、再生資源を使ったモノ作りの「つくる責任」、商品のリペアサポート、衣類回収などの「うる責任」に取り組む。

プラスチック使用削減では、2019年中に店頭のビニールショッパーを廃止し、紙袋に切り替える。現在ほとんどの店舗で紙袋を使用しているが、「マッキントッシュフィロソフィー(MACKINTOSH PHILOSOPHY)」「エポカ ザ ショップ(EPOCA THE SHOP)」「トランスワーク(TRANS WORK)」「エヴェックス バイ クリツィア(EVEX BY KRIZIA)」の4ブランドでセール用のビニールショッパーを保有しているため、今夏のセールに使い切り次第、紙袋に替えていく。

素材面では動物尊重の観点から、19-20年秋冬シーズンの商品からリアルファー(毛皮)の使用を全面廃止する。ウエアと雑貨を含め、ミンク、フォックス、ラビットなどの毛皮を一切用いない商品を提案していく。また、イタリアのボット ジュゼッペが開発したミュールジング(羊への蛆虫の寄生を防ぐため、子羊の臀部の皮膚と肉を切り取ること)を行わずに飼育した羊のウール“SLOWOOL”を採用するほか、布団などの羽毛製品からリサイクルした再生ダウン“グリーンダウン”の使用を推進。また、再生資源で作られた再生ウールや再生ポリエステル、オーガニックコットンなど環境に配慮した原材料の調達を進める。

さらに「うる責任」として、同社が製造・販売した商品(雑貨を除く)のリペアサポートを行う。コートブランド「サンヨー(SANYO)」の”100年コート”は、3年ごとにコートの定期健診を行うケアプログラムを取り入れている。

19年上期から直営店全店舗で衣料品回収を行う。来店客から不要な衣料品を回収するリサイクルキャンペーンを行い、日本環境設計の「ブリング(BRING)」プロジェクトを通して、再生原料やジェット燃料、バイオエタノールなどへの再資源化を図る。

気鋭ブランドが公式の“偽物”を「ヤフオク!」で1円から出品 “真の価値”を問う

東京発のブランド「ダイレマ(DILEMMA)」は、新作の限定Tシャツとロングスリーブカットソーを2月25~3月3日にオークションサービス「ヤフオク!」で販売する。“本物とは何か”をテーマに、正式なブランド名にMを1つ多く記載した “DILEMMMA”のロゴをアイテムの胸元にプリント。非正規品が出回ることもあるオークションサイトでの販売と合わせ、 “偽物”感を演出する。

アイテムの価格は、ブランドに関わるメンバーの意見から、商品の真の価値を問うためとして1円からスタート。ユーザーがアイテムの価格を決める、参加型の企画だ。

「ダイレマ」は“狭間にある美”をコンセプトに2017年にスタート。過去には英イラストレーターとコラボレーションしたTシャツをECサイトでの販売と同時に都内のコインロッカーに設置し、「ネットで購入する」という“便利”さと、「コインロッカーまで商品を取りに行けば無料で手に入る」という“苦労”を表現するなど、さまざまな“狭間”を表現してきた。今回の「ヤフオク!」での最新アイテムの出品は、本物と偽物の狭間を示し、その価値のありどころを消費者に問うものとなっている。

カニエと「アディダス」が“YEEZY 500”の新色を発売 全パーツをブラックで覆う

カニエ・ウェスト(Kanye West)が手掛ける「イージー(YEEZY)」と「アディダス(ADIDAS)」は7月7日、“YEEZY 500 UTILITY BLACK”を発売する。今年4月に発売した最新モデル“YEEZY 500”の新色で、アッパーからソールまで全てをブラックで統一した。価格は2万5000円。

トレンドのダッドスニーカー風のデザインで、アッパーに牛革のスエード、レザー、メッシュの3つの異素材を使用し、立体感を出した。ソールには耐久性と反発力を兼ね備えたEVAミッドソール、高摩耗性のラバーアウトソールを搭載した。

「アディダス」公式サイトやアディダス オリジナルス フラッグシップ ストア トウキョウ、一部のアディダス オリジナルスショップ、ミタスニーカーズ(mita sneakers)、スタイルス(STYLES)代官山店、ビームス(BEAMS)原宿店、ユナイテッドアローズ&サンズ(UNITED ARROWS & SONS)、伊勢丹新宿本店などで取り扱う。

10周年を迎えたDFSの「マスターズ・オブ・タイム」に最高峰のウオッチとジュエリーが集結

免税店大手のDFSグループ(以下、DFS)のウオッチとジュエリーの祭典「マスターズ・オブ・タイム(MASTERS OF TIME)」が10周年を迎えた。スタート以来、毎年マカオで開催している同イベントでは、DFSのエキスパート集団が1年以上の入念なリサーチをし、厳選した逸品のコレクションを展示販売している。

12月7日にスタートした同イベントでは、「ブレゲ(BREGUET)」「ブルガリ(BVLGARI)」「ジャケ・ドロー(JAQUET DROZ)」「ピアジェ(PIAGET)」「ヴァシュロン・コンスタンタン(VACHERON CONSTANTIN)」など30ブランドから450点以上の限定ウオッチや限定ジュエリーがそろう。10周年を記念し、特別に作られたオーダーメード品も販売する。

ウオッチの目玉は、「ブルガリ」の強力な合成サファイアクリスタルを使用した“オクト トゥールビヨン サファイア”や「ジャケ・ドロー」の南国の風景から着想を得た‟トロピカル・バード・リピーター”、世界で5本DFS限定の「フランク ミュラー(FRANCK MULLER)」のダイヤル全体にダイヤモンドを施した‟ヴァンガード クレイジー アワーズ”など。

ジュエリーの注目のアイテムは「ブシュロン(BOUCHERON)」の鳥や羽をモチーフにした“プリュム ドゥ パオン エ オピ”セットや「ブルガリ」のカラフルな色石をふんだんにあしらった“ディーヴァ ドリーム”セット、「ピアジェ」のパームスプリングをイメージした躍動感あふれる“サニー・サイド・オブ・ライフ・ゴールド・スピリット”のカフブレスレットなどがある。

同イベントは、Tギャラリア by DFS マカオ フォーシーズンス店で2019年2月末まで開催する。

なぜスウェーデンにはサステイナブル先進企業が多いのか 貧困国から世界一「評判のいい国」になった理由

「H&M」やヌーディージーンズ などのスウェーデンブランドは、とりわけサステイナビリティーの追求が目を引く。2015年9月、国連が採択した世界をよりよく変えるための17の目標SDGs(持続可能な開発目標)の現時点での達成率は、対象の156カ国中スウェーデンが1位だ(SDGsインデックス2018年度版)。ちなみに2位がデンマークで3位がフィンランドと続く。また、米国のコンサル会社による調査で16年と18年にスウェーデンは「世界一評判のいい国」に選ばれており、循環型社会を推進しゴミを資源と考えたリサイクルの仕組みも多くのメディアが紹介している。消費税率が25%と高くても、国民には“税金は投資”という考えが根付いているようで、国もサステイナブルなスウェーデンを目指して取り組んでいる。どのようにしてスウェーデンはサステイナブルの考えが発展したのか――駐日スウェーデン大使館のアップルヤード和美・政治経済担当官に聞いた。

スウェーデン人はサステイナブルな仕組み作りに長けていると感じます。

アップルヤード和美・政治経済担当官(以下、アップルヤード):スウェーデンはイノベーションの国で、もともと新しいものを積極的に取り入れる気質があります。大きなきっかけは、19世紀後半から20世紀初頭にかけて、人口の5分の1にあたる約130万人が北米に移住したことでしょう。当時のスウェーデンでは欧州でも貧しい農業国だったため、経済危機と食料不足が原因で人が流れてしまったのですが、国家的な危機ですよね。そこから人々が暮らしやすい、いい国を造ろうと福祉国家の基礎作りが始まりました。そうして、19世紀末から工業化が急速に進展しました。

環境教育が行き届いています。

1960年代に酸性雨が問題になったときに、水の多いスウェーデンではその大切な水が汚染された。自国だけでは環境の改善はできないので国際協力が必要になり、1972年に初めて国際連合人間環境会議が首都のストックホルムで開かれました。ちなみに国連が提唱するSDGsの17のアイコンのデザインもスウェーデン人がデザインしています。

スウェーデンには国として2045年までに排気量ゼロという意欲的な目標もありますが、国民の環境意識が高いのは教育の影響もありますか?

2009年に国民向けに、次世代にサステイナブルなスウェーデンを目指すための16の目標環境を掲げたバイブルが発表されて、12年に始動しました。エコシステム、生物多様性、循環型経済、健康、よい消費者であることなどを義務教育で学んでいます。そうはいっても実は循環型経済に向けた取り組みを始めたのは早かったのですが、体系化するのは遅れていると感じています。

ファッションでは「H&M」や「ヌーディージーンズ」がサステイナビリティーを追求しています。

「H&M」は(スウェーデンの)ヴィクトリア皇太子もアピールしていますね。ヴィクトリア皇太子はお母さまから譲り受けた服を現代風に着こなすなど、率先してリサイクルやサステイナブル素材を用いたものを着用して後押ししています。海洋プラスチック問題にも取り組むなど、著名人も率先しています。文化民主主義大臣はノーベル賞の晩餐会で、ストックホルムでリサイクルした布で仕立てたドレスを着用しました。

ゴミのリサイクルが進んでいると感じるし、ゴミを燃やしたときの熱量も暖房に再利用すると聞いたことがあります。

ゴミを燃やして、電気と熱を取り出しています。熱は地域暖房として活用しています。ゴミ焼却施設は発電所でもあって、その焼却熱によって発電しています。

近隣諸国からもゴミを有料で輸入してリサイクルしているとか。

16年は130万トン輸入していますが、実はそこには批判もあります。EU内には、燃えるゴミや有機物の埋め立てを禁止する動きがあります。スウェーデン自体に余剰能力はありますが、輸出元の国でリサイクルの仕組み作りが進展しないという問題に加え、燃やすことで有害物質が放出されないかとう懸念もあるからです。さらに輸入するゴミに対しては、国内に比べてリサイクル率が甘く、燃やすごみにプラスチックが入っているのも批判の要因になっています。

今はバイオ経済を推進しているとか。

国土の70%が森林で、積極的に木材を素材として利用し、バイオベースの循環型経済を目指しています。木製の自転車もあります。ストックホルムに行くといろんな燃料のバスが走っていますが、バイオ燃料で走るバスもあります。大きなバイオ発電所があり、木くずや家庭の生ごみから発電しています。

消費者もバイオ燃料を選択する知識がある。

消費者から、サステイナブルなものが欲しいと生産者に対して圧力をかけています。国も、消費者に対して何を買えば環境にいいかを教える施設を作り、意識の啓発をしています。各自治体にもアドバイスする人が配置されていています。例えば、魚を一つ取って見ても、MSC認証(持続可能で適切に管理され、環境に配慮した漁業の認証)を得たものを選んだり、ASC認証(養殖に対する認証)のものを推奨したりしています。日本では、価格が割高になるためなかなか浸透していませんし、漁業者もお金を払ってまで認証を取ろうという意識は高くはないと感じます。一方、スウェーデンは消費者がそれを求めているのです。

消費税率も一律ではないとか。

消費税率は25%ですが、目的意識が政策に反映されていて、例えば自転車、皮革製品、服、靴、布類の修理代の消費税率は12%で、循環型経済を推進しています。いい国になるために経済を活性化させるためのよい政策という目的意識が高いのです。だから、スウェーデン人は税金を投資と同じように考えています。炭素税も世界で一番高く、化石燃料をなくすために高い税金をかけています。一方、クリーンな電力で電気自動車を走らせることを推進しており、無税にしたり、低い税金にしたりしています。

今取り組んでいることは?

電気化の推進です。電気自動車を効率よく走らせるために、走りながら充電できる道路を開発して、ストックホルム郊外で試験運用が始まりました。道路自体を電化する実験です。